「読む力」を育てる!説明文・論説文の指導方法-説明的文章の新三読法[3]論理よみ①柱に着目して、論理を読みとく

「読む力」を育てる!説明文・論説文の指導方法-説明的文章の新三読法[3]論理よみ①柱に着目して、論理を読みとく
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前回は、説明的文章の新三読法の一段階目「構造よみ」についてご説明しました。

今回は、説明的文章の新三読法のニ段階目「論理よみ」の指導方法について説明します。論理よみでは、文章の「柱」に着目し、論理の流れをよみときます。
「世界にほこる和紙」を例に解説をしていきます。

物語・小説の指導方法「物語の新三読法」はこちら

論理よみー文章の論理を読みとく

 説明的文章の新三読法の二段階目「論理よみ」では、文章の「柱」に着目することで、論理の流れを読みといていきます

論理を読みとくために、まず「柱」に着目する

 「柱」とは、その段落または文がないと文章が成立しなくなる、文章の骨格ともいえる段落・文のことです。段落の場合は「柱の段落」、文の場合は「柱の文」といいます。

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Point
「柱の段落(文)」は、「中心段落(中心文)」「重要段落(重要文)」「キーパラグラフ(キーセンテンス)」などと言われているものとほぼ重なります。

あえて「柱」という言葉を用いるのは、「重要」「キー」などという表現がもつ価値的な要素を避けるためです。大事なところ、大切なところというのは、ひとりひとりの読み手によってさまざまなはずです。読み手にとって重要な要素かどうかという判断とは別に、文章の骨格を「柱」として捉え、筆者が構築した論理の流れをとらえていきます。

例題:次の文章の「柱の段落」「柱の文」はどれ?

 次の文章は説明文の「なか1」(本論1)だと考えてください。(「なか」とは?)
 さて「柱の段落」はどれでしょうか?柱の段落を捉えることができたら、次はその段落の中から「柱の文」を見つけてみてください。(□は段落番号、①は文番号)

2①では、まず東京の夏とロンドンの夏の違いについて考えてみましょう。

3①ロンドンの七月・八月の気温は、十六度前後です。②これは、東京の五月や十月の気持ちの良い季節の気温とほぼ同じです。

4①一方、東京の七月・八月の気温は、二十五〜六度です。②たとえばこれは、南東のグアムの気温に近いのです。

5①つまり、東京の夏はロンドンの夏に比べてずっと暑いということが言えます。
②ロンドンの紳士たちが夏でも平気で上着を着ていられるのも、そういう条件によるのかもしれませんね。

柱の段落

 柱の段落は、第5段落です。5があれば「なか1」で述べようとしていることはまずは掴むことができます。

5①つまり、東京の夏はロンドンの夏に比べてずっと暑いということが言えます。②ロンドンの紳士たちが夏でも平気で上着を着ていられるのも、そういう条件によるのかもしれませんね。

 柱の段落がわかると、25が問いと答えの関係になっていることや、34で述べていることを5でまとめていることが見えてきます。段落相互の論理関係をつかむことができるのです。

柱の文

 「なか1」の柱の段落5からさらに柱の文を捉えていきます。柱の文は、①文です。

5①つまり、東京の夏はロンドンの夏に比べてずっと暑いということが言えます。②ロンドンの紳士たちが夏でも平気で上着を着ていられるのも、そういう条件によるのかもしれませんね。

 ②の文は、①の文を補足(つけたし)しています。

なぜ「柱」に着目するのか

 柱の段落・柱の文に着目することの意義をまとめると次のようになります。

  1. 文章の中心や文章の骨格を大づかみすることができる。
  2. 文章の論理の流れや方向が見えてくる。
  3. 柱とそれ以外との論理関係をつかむことができる。

 これらは学習指導要領の「段落相互の関係」や「文章の中心的な部分と付加的な部分」との関係「論理」の「展開の仕方」などをとらえることに対応します。「情報と上情報との関係」の把握にもつながります。

説明的文章「論理よみ」の授業の流れ

 では、実際に「論理よみ」の授業をどのように行なっていくのか、その流れを説明します。次の通りです。

例:「世界にほこる和紙」(増田勝彦)の場合

 今回は、光村図書出版の小4国語教科書に掲載されている説明的文章「世界にほこる和紙」(増田勝彦)を例に 論理よみの授業の流れを説明していきます。

「世界にほこる和紙」について

 「世界にほこる和紙」は、論説文(persuasive型)です。第2段落で「より多くの人に和紙のよさを知ってもらい、使ってほしいと考えています。」と筆者の主張(仮説)を示しています。(論説文と説明文の違いについてはこちら)
 そのため、3段落以降のなか(本論)では、「和紙のよさを知ってもらい、使ってほしい」という筆者の主張を読者に納得してもらうための文章が展開されていきます。

 次は「世界にほこる和紙」のなか1(本論1)全文です。なか1は、第3 段落〜第6 段落までです。

3①まず、和紙のよさについて考えてみましょう。②和紙には、洋紙とくらべて、やぶれにくく、長もちするという二つのとくちょうがあります。③このようなちがいは、何によって生まれるのでしょうか。

4①紙のやぶれにくさは、せんいの長さのちがいが関係しています。②紙は、そこにふくまれるせんいが長いほど、よりやぶれにくくなります。③そして、洋紙と和紙をくらべると、和紙はとても長いせんいでできています。④そのため、和紙は、洋紙よりやぶれにくいのです。


5①紙が長もちするかどうかは、作り方のちがいによります。②洋紙を作るときには、とても高い温度にしたり、多くの薬品を使ったりします。③しかし、和紙を作るときには、洋紙ほど高い温度にすることはなく、薬品もあまり使いません。④よりおだやかなかんきょうで作られている和紙は、時間がたっても紙の成分が変化しにくく、その結果、長もちするのです。


6①このような和紙のとくちょうは、国内外のさまざまな所で実感することができます。②正倉院には、およそ千三百年前の和紙に書かれた文章が一万点以上ものこっています。③それらは、げんざいでも、当時とあまり変わらない手ざわりで、当時と同じように文字を読むことができます。④また、日本だけでなく、世界の博物館や美術館などで、古くからある絵画や手紙の修復に和紙が使われています。⑤やぶれた所や、いたんでしまった作品全体に和紙をはりつけることで、何百年もの間、作品を元のすがたのままで保管し、人々に見せることができるのです。

1.柱の段落を見つけだす

 柱の段落は、「はじめ」「なか1」「なか2」...「おわり」それぞれにあります。(「はじめ」や「なか1」「なか2」などが一段落しかない場合は、そのままそれがその段落が柱となります。)段落が複数ある場合は、柱の段落を見つけ出していきます。

「世界にほこる和紙」の場合なか1「柱の段落」は第3段落

3①まず、和紙のよさについて考えてみましょう。②和紙には、洋紙とくらべて、やぶれにくく、長もちするという二つのとくちょうがあります。③このようなちがいは、何によって生まれるのでしょうか。

 3段落は、②文で「和紙には、洋紙とくらべて、やぶれにくく、長もちするという二つのとくちょうがあります。」と、これからなか1(本論1)で詳しく述べていく内容の骨格を示しています。そして、その「二つのとくちょう」を第4段落~第6段落で詳しく展開しています。
 つまり、柱の段落は、第3段落ということになります。

2.柱の段落とそれ以外の段落との論理関係を確認する

 次に「柱の段落」とそれ以外の段落との論理関係を把握していきます。
 「柱←柱以外」の論理関係の型には6つ(詳しい説明/例/柱でまとめる/問い/補足/理由・原因・条件・前提)あります(詳しくはこちらの記事で説明しています)。

「世界にほこる和紙」の場合

 柱の第3 段落を受けて、第4段落ではなぜ和紙が破れにくいのかの理由、第5段落では和紙が長持ちする理由を書いています。そして、6段落では、それらの和紙の特徴が、正倉院の文書の質や世界の博物館等での修復に生きていることが例示されています。
 次のように表すことができます。

3.柱の段落から柱の文を見つけだす

 次に柱の段落の中から、「柱の文」を捉えていきます。

「世界にほこる和紙」の場合柱の文は、②文。

3①まず、和紙のよさについて考えてみましょう。②和紙には、洋紙とくらべて、やぶれにくく、長もちするという二つのとくちょうがあります。③このようなちがいは、何によって生まれるのでしょうか。

 前述したとおり、この②文がなか1(本論1)の骨格となっています。はじめ(序論)を受けて、②文でなか1で詳しく述べていく内容の骨格を示しています。

4.柱の文とそれ以外の文との論理関係を確認する

 「柱の文」がつかめたら、柱の文とそれ以外の文との論理関係を把握していきます。「柱←柱以外」の論理関係の型には6つ(詳しい説明/例/柱でまとめる/問い/補足/理由・原因・条件・前提)あります。(詳しくはこちらの記事で説明しています)

「世界にほこる和紙」の場合

 「世界にほこる和紙」の柱の第3 段落では、①文で「まず、和紙のよさについて考えてみましょう。」と柱の②文で述べることの予告をしています。そして、柱の②文で①文を受けて、和紙のよさを2点述べています。
  ③文は「このようなちがいは、何によって生まれるのでしょうか。」と、次の段落に論理をつないでいます。つなぎという補足的な役割です。(同時に、この文は第4段落にとっては予告の役割を担っているとも言えます。)

論理よみの授業を面白くするポイント

 教材研究では上記のように「柱の段落」「柱の文」とその論理関係について、丁寧に検討しておくことが大切です。
 ただし、実際の授業では常にすべての「柱の段落」「柱の文」を検討しなくてもいいと思います。「論理よみ」を面白くするためには、見解が分かれるような場合に絞って授業を展開していくことが大切です。

論理よみの授業を面白くするポイント

  1. どこが「柱」か②柱とそれ以外の「論理関係」は何かについて、意見が分かれたり迷ったりする場合はそれをめぐって意見交換や討論を行う。
  2. 「柱」やその論理関係が明らかな場合は、子どもたちにその理由を確認する程度ですませる。

 意見が分かれたり、迷ったりする箇所こそ、子どもたちに豊かな学びが生まれるチャンスです。ぜひその箇所をめぐり熱い意見交換や討論を繰り広げてください。
 意見が分かれない箇所に関しては、「なぜここが柱の段落なの?」「なぜここの論理関係は『柱←詳しい説明』だといえる?」など子どもたちに理由を確認する程度でよいと思います。

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以上が、説明的文章の「論理よみ」の指導過程です。「柱」に着目する授業、ぜひ実践してみてください。
論理よみの補足記事「「柱←柱以外」の論理関係—6つの型」もぜひお読みください。
次回は、指導過程の最終段階「吟味よみ」に入っていきます。

 拙著『文章吟味力を鍛える—教科書・メディア・総合の吟味』では、評価する力と批判する力の双方を含む「吟味力」の理論や実践例を解説しています。

📕注:「世界にほこる和紙」(増田勝彦)本文は、小学校国語教科書『国語四・下』(光村図書出版,2020年)による

執筆者

国語科教育研究者
国語の教師・国語科教育研究者として、40年にわたり国語授業の研究・実践を行う。全国各地の小・中・高校や教育委員会等を訪問して授業の助言・指導や講演を行なっている。