「読む力」を育てる!説明文・論説文の指導方法-説明的文章の新三読法[2]構造よみ

「読む力」を育てる!説明文・論説文の指導方法-説明的文章の新三読法[2]構造よみ
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前回は「説明的文章の新三読法」の概要、文種の見分け、作品との出会いをつくる「表層のよみ」についてご説明しました。
今回は、説明的文章の新三読法の一段階目「構造よみ」の指導方法について「こまを楽しむ」(安藤正樹)を例に説明していきます。

物語・小説の指導方法「物語の新三読法」はこちら

構造よみー文章の構造を読む

 説明的文章の新三読法の一段階目「構造よみ」では、文章の全体像を大きくつかんでいきます
 文章の構造を俯瞰すると、文章の大きな論理の流れをおおまかにつかむことができます。それによって、第二段目の論理よみ、第三段目の吟味よみを、より切れ味よく進めていくことができるようになります。

説明的文章の典型構造を知る

はじめ・なか・おわりの三部構造

 説明的文章(説明文・論説文)には説明的文章に多く共通するいわば典型的な構造があります。
 それが「はじめ・なか・おわり」(序論・本論・結び)という三部構造です。

はじめ(序論)

なか(本論)で論理を展開していく内容のおおまかな方向性が示される。

なか(本論)

詳細な説明や具体的な例示、仮説への論証などが行われる。

おわり(結び)

最後に全体の結論を述べたり、まとめをしたりする。

 文章によっては「はじめ・なか」(序論・本論)や「なか・おわり」(本論・結び)などの二部構造もあります。このような二部構造も、三部構造を典型として学んでおくことで、なぜ「おわり(結び)を位置づけなかったのか」「なぜはじめ(序論)を省略したのか」などがいっそう分かりやすくなります。

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「はじめ・なか・おわり」の用語は主に小学校で、「序論・本論・結び」の用語は中学校・高校で使うといいかと思います。サイトでは以後、「はじめ・なか・おわり」で統一して記載していきます。

説明的文章「構造よみ」の授業の流れ

1.「はじめ・なか・おわり」に分ける

 構造よみの授業では、まず初めに文章を「はじめ・なか・おわり」の3つに分けていきます。

三部構造の各部分の指標(見分け方)

 「はじめ・なか・おわり」には、それぞれ役割があります。下記の指標のうち一つまたは二つ以上が示されることが多くあります。

はじめ(序論)の指標なか(本論)で論理を展開していく内容の方向性が示される。
  1. 問題提示(「…だろうか。」「…でしょうか。」などで文章の方向性を示す。)
  2. 話題提示(「…○○について述べていく。」「…それについて三つのポイントがあります。」)
  3. 導入(話題への誘い・興味喚起、前提条件の提示)
  4. 結論(仮説)―など
なか(本論)の指標詳細な説明や具体的な例示、仮説への論証などが行われる。
  1. 問題提示に対する答え
  2. 詳細な説明、具体的な事実提示
  3. 結論(仮説)についての論証―など
おわり(結び)の指標最後に全体の結論を述べたり、まとめをしたりする。
  1. まとめ
  2. 結論
  3. 新たな問題提起、残された課題、付け加え、筆者の感想—など
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説明的文章の構造を指導する際には、初めはなるべく典型的な教材から始めていくのがおすすめです。例えば、光村図書・小3「こまを楽しむ」(安藤正樹)などは典型性が高いので、小学校高学年や中学校、高校でも使うことができます。

「こまを楽しむ」(安藤正樹)の場合

はじめ(指標1.問題提示)

 「こまを楽しむ」のはじめは第1段落です。ここでは「どんなこまがあるのでしょう。また、どんな楽しみ方ができるのでしょう。」と、「なか」につながる二つの問題提示をしています。

なか(指標1.問題提示に対する答え)

 「こまを楽しむ」のなかは第2〜7段落です。「はじめ」の二つの問題提示に答えています。文の前半が「どんなこま」に対応し、後半が「どんな楽しみ方」に対応しています。

おわり(指標1.まとめ)

 「こまを楽しむ」のおわりは第8段落です。ここでは「このように、日本には、さまざまなしゅるいのこまがあります。」「回る様子や回し方でさまざまな楽しみ方のできるこまをたくさん生み出して」と、それまでの「なか」を大きくまとめています。そして、第1段落の二つの問題提示とも対応しています。

2.「なか」をまとまりに分ける

 構造が読み取れたら、次に「なか」を内容ごとにいくつかのまとまり(「なか1」「なか2」「なか3」など)に分けていきます。

 比較的簡単にまとまりが見えてくる場合がある一方で、どこでまとまりを区切ったらよいか意見が割れることがあります。それを検討する過程でより文章が深く読めるようになるのです。

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ただし、かなり詳細に論理関係や事柄にまで分け入っていかないとまとまりがわかりにくいという場合は、いくつかの考え方をあえてそのままにしておいて、論理よみの際にそれを解決していくという指導法もあります。

「こまを楽しむ」(安藤正樹)の場合

なかを分ける

  「こまを楽しむ」では、第2段落で「色かわりごま」、この後段落ごとに「鳴りごま」「さか立ちごま」「たたきごま」…と、続きます。この場合は、一つ一つのこまが内容のまとまりなので、それぞれのこまごとになか1、なか2、なか3……となります。

3.「なか」相互の関係を確認する

 今度は「なか」「なか2」「なか3」……相互の関係を見ていきます。その際にその関係が「並列型」か「展開型」かを見分けることが大切です。(稀にこれら二つの型が組み合わされている場合もあります。)

並列型

「並列型」とは...

「なか」を述べる際に、いくつかの事柄を並べて述べる。
「なか」の順番を入れ替えても意味が伝わる。(ただし、並べの順序には、筆者の工夫が含まれている。)

並列型の教科書教材例:「じどう車くらべ」(光村図書・小1)、「いろいろなふね」(東京書籍・小1)、「こまを楽しむ」「すがたをかえる大豆」(以上、光村図書・小3)

「こまを楽しむ」(安藤正樹)の場合

 例えば「こまを楽しむ」は、「なか1」で「色かわりごま」、「なか2」で「鳴りごま」、「なか3」で「さか立ちこま」、「なか4」で「たたきごま」などと「並列型」で説明されていきます

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並列型で着目すべきはその「並べ方の順序」です。並列であるのだから、順序を変えても問題ないはずです。にもかかわらず、教科書でその順序に事柄を並べてあるにはなぜかを考えさせていきます。
ただし、この学習は、構造よみ段階ではなく三段階目の吟味よみで行います。

展開型

「展開型」とは...

「なか1」の内容を踏まえて「なか2」で論理が展開されていく。その後も「なか2」→「なか3」→「なか4」と、論理が展開されていくことがある。比較的、論説文に多い形。
この順番を入れ替えると意味をなさなくなる。

展開型の教科書教材例:「ありの行列」(光村図書・小3)、「固有種が教えてくれること」(光村図書・小5)、「『鳥獣戯画』を読む」(光村図書・小6)「『言葉』をもつ鳥、シジュウカラ」(光村図書・中1)

「ありの行列」(大滝哲也)の場合

 「ありの行列」では、「なか1」(実験1→実験2→それに基づく考察)、「なか2」(なか1の考察に基づく実験→さらなる考察)となっているため、なかの順序を入れ替えることはできません。展開型の関係であることがわかります。

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次は「論理よみ」に入っていきます!更新までお待ちください。

 拙著『文章吟味力を鍛える—教科書・メディア・総合の吟味』では、評価する力と批判する力双方を含む「吟味力」の理論や実践例を解説しています。

執筆者

国語科教育研究者
国語の教師・国語科教育研究者として、40年にわたり国語授業の研究・実践を行う。全国各地の小・中・高校や教育委員会等を訪問して行った授業の助言・指導、講演は1000回を超える。